波瀾

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読書メモ①進化心理学への興味

 

1.総論

 ア. 感情には①生理的側面(アドレナリンの興奮作用による感情の惹起)

     ②社会的側面(同調)

     ③認知的側面(環境を解釈して感情の種類を決める)

              がある。(シャクターとジンガーの実験

 

 そして③認知的側面にいう「認知」とは本来理性の働きとされていた

   ↓

 つまり感情と理性とは対立するものではなく、一緒になって働くもの

 (思考においても感情が思考の方向付けとして大きく影響している)

 

 イ.そもそも感情は社会的な環境の中で感情を持つものが円滑に生き抜けたために、感情を持つ子孫が増えたと説明される

  ↓

 当然、社会環境の変化とともに必要とされる感情は増えていく

 (=社会環境の変化とともに不要となる感情もあるはず)

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 しかし、社会環境の変化があまりに早すぎて、生物の進化は追いついていかない

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 感情が社会環境の変化に追い付くことができない状況から生まれた問題に対応するために生まれたのが理性

 

2.各論

 ア.恐怖は、危険な状況に遭遇した時にいち早く対応するための心の動き(「まさかの状況に対処して過剰に働くようになっている」)

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 つまり怖がりな人は、本来は、生き抜くための高度な能力を身につけた人だった

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 しかし、社会生活の高速化により否定的な見かたをされるように

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 そこで、理性や馴れによって必要に応じて克服し、社会生活をなんとか成り立たせている

 

 イ.不安は漠然とした恐怖が持続する状態であり、想像に基づくもの

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 そもそも恐怖とは危険の確認によるもの

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 よって、危険を確認しないことによって解消しうる

  ①想像しない

  ②危険が存在しないような超想像をする(神が・・・)

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 しかし、それもまた問題ではないか

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 そこで、適度に想像し、想像によって予測される危険に対して手立てを尽くしたとして納得することで解消する

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 そのために、他の興奮状態を起こす(スポーツやお化け屋敷)

 (一般に言うストレス解消)

 

以下、箇条書きメモ

①「怒りは上下関係の形成に貢献してきた。」

 

②「怒り、威嚇→意気消沈という心理的対応が権利を守るという社会制度の確立に..謝罪→許しという心理的対応が権利を調整するという人間集団での協力につながった」

 

③理性による山分け主義の発生によって、弱肉強食の対立軸が個人対個人から集団対集団になった。それによって、集団の中で能力が多様化するようになった(役割分担)

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 しかし、山分け主義の中ではタダ乗りが横行しがちなため、怒り、罪悪感でそれを抑制し、強い集団となっていった

 

④自分への怒りは、自分を行動的にしようとする心の働き、または自分自身への怒りを表明することによって周囲からの援助を得ようという心の動き

 

 

「人間は、最近の経験を振り返って、肯定的な感情が多くの部分を占めていると感じるときに、「幸福だ」と思う傾向があるようです。」

 

「外交的な性格の人は幸福感を感じやすく、神経症的性格の人は感じにくい傾向があります。」

 

「外交的な性格の人とは、人との繋がりが密になる人...感情的な報酬が得られやすく、幸福感を感じやすい体験が多い」

 

「否定的な体験の記憶を薄める動きをセロトニンというホルモンがになっている」

 

「一気に吐き出すことや、ぱっと使うことが快感であり、日常的に少しずついいことがあるのでは、肯定的な感情が高まらない」

 

「幸福感は飽和しやすく、日常的な幸福は持続しにくい」

 

「幸福が意識に介入すると、意識的思考の目標となる」

 

「感情は意識に介入するが、生き残るのに問題がない状況になれば、幸福にかぎらず、多くの感情が意識に上らなくなる」

 

☆「現在の人間の幸福感については、狩猟採集時代に合わせた状態のままであることは、ほぼ確実...狩猟採集時代は、なかなか満たされない衣食住が満たされると幸福、危険な環境でなんとな長生きできれば幸福、家族的な繋がりができれば幸福、集団に貢献し賞賛されれば幸福...しかし、現代社会では状況が一変...そこそこ満たされ長生きする人生が当然」

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「多様な集団に属し、多様な幸福を実現するのが未来のかたち」

 

「人間の嫌悪感は、そもそも人間同士のせめぎあいに由来しています。上から目線で、他者から支配されると搾取される危険があります。また、自分の心の働きが誰かによって読まれてしまうと、交渉において不利な立場になってしまいます。だから私達は、上から目線に敏感で、不利な状況から逃れようと嫌悪するのです」

 

「だじゃれは、私たちの言葉の解釈を、意味の観点から音韻の観点に転換させてしまうのです。予定した解釈から外れる事態が発生し、驚きが引き起こされるわけです。」

 

「人間には自己呈示欲(自分は○○な人間だ、と発信しようとする)→しかし、本来複雑な心を単純に言い切ることはできない→そもそもそれは役割分担のため→そして、役割分担は所属する集団があってようやくターゲットを絞ってできるもの→現代社会の若者は、所属する集団もないうちに自己呈示しようとするから悩む」

 

「自己呈示→承認という対応」

 

「自由が重んじられる現代社会では、特定の集団だけに所属する必要性がありません」

 

「承認の欲求は、どこか承認される集団を一つ見つけて、そこで満足させるというテクニックがあります」

 

「自己呈示は、自ら所属する集団にふさわしいものを適宜提示すればいいだけで、一貫性を要求する必要はない」

 

 

「私達は、何かを信じたいものです。そもそも何かを信じないと判断ができません。ですから、迷いが生じた時には、信奉欲求が現れます。」

昔のコミュニティでは情報の量が少なく、集団内で同じ情報を共有し同じ判断をして動いていくために..現代のコミュニティでは情報過多で信頼できるかどうかもわからない情報ばかり、どうしていいのかわからない→宗教が必要なのかも(信奉欲求の充)

 

「まず疑ってかかれ、信じずにしっかり吟味せよ」

 

「くやしさには、集団での利益配分を是正する働きがあります」

 

「かなしさには周囲の気づきを促進する効果があります」

 

 狩猟生活時代までさかのぼって人間の感情の働きについて考える貴重な体験、過去を振り返ること、歴史を紐解くことの重要性を感動として自分の思考に刻みこむことができた。

 

 

引用

人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)

人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)