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読書メモ⑦人間であること

 

 40年前の医学部の学生向けの本だからかなり古い知識だろうし、内容には誤りがあるかもしれないけど、けっこうおもしろかった

 

人間であること (岩波新書)

人間であること (岩波新書)

 

 

「世人は常に自己の正面を見る。私は目を内部にかえす。そこに据えてじっと離さない。各人は自己の前を見る。私は自分の内部を見る。私は、ただ私だけが相手なのだ。私は絶えず私を考察し、私を検査し、私を吟味する。」 フランスの哲学者モンテーニュ『随想録』より

 

「大脳辺縁系のいちばん基本的な本能である集団欲は、孤独をきらい、相手かまわず無性に相手を求め、いっしょになって生活するように、私たちを集団の結集にかりたてている。いがみ合いながら、喧嘩しながら、万難排して集団をなすゆえんである。」

 

「ところが...すばらしい物質文明を築き上げさせた...前頭連合野は、皮肉にも、私達を限りない競争意識にかりたて、他を否定す」

 

「お互いにたくましく生きてゆくために集団生活を営みながら、そのなかで、よく生きていくために、お互いが、個を主張しほかを否定しようとしている」 「人間の宿命としての集団と個の対立である」

 

「私たち人間は、個に徹するほど孤独になり、孤独をいやすために、個性を持った相手を求めようとしている」 「ここにまた、よく生きていくために個を否定する前頭連合野が個を求めるという個と個との対立がくりひろげられている」

 

「私たち人間の死とは、個性をもった人格者の消滅である」

 

「私たちは決して、現在の瞬間に生きているのではなく、過去を足場にして、未来に夢を描き、将来に希望をかけ、その実現をはかるように努力しているのである。」

 

「未来、将来へ向かって生きゆかせている前頭連合野をいだいている私たち人間はすべて、死にたくない、いつまでも生きていたいという限りない生への執着心を持っているのである」

 

「武士たるものは、正月元旦の朝から大晦日の夜まで、常に死を心においておかなければならない」 「武士道というは、死ぬことと見つけたり」 「毎日の行動を全力投球によって、最も有意義に生きてゆくことを戒めている」

 

生きる目的は生きることそのもの

 

「人間のまなざしが、相手を殺すことができるならば、街という街は、死骸でいっぱいになるだろう」 前頭連合野に芽生える競争意識がこうじると、相手を消してしまう殺しの感情に発展する。劣等感、ねたみ、そねみ、嫉妬心、うらみのもとである。意志による前頭連合野の抑止力にも限度があるゆえ

 

「人間はただ、ことばによってのみ人間である」ドイツの言語学フンボルト

 

「私たち人間の身体の3分の2は水分で、大人で毎日、少なくとも2,5リットルの水分をとり、同じ量の水分を、尿や汗や大便や呼気として排出してバランスをとっている」

 

「私たち人間は、集団欲がみたされた時に、一心同体の感じや心の連帯を覚え、心が安定するのであるが、そうでない時に、さびしさや孤独をかこつようになって、心が不安定になる」

 

「集団欲をかなえるいちばん基本的、効果的な手段は、皮膚や粘膜の圧迫、すなわち、肌のふれあい、スキンシップである」

 

赤ちゃんが指をしゃぶるのは、母親との肌接触のたりなさ故に満たされない集団欲を代償的に満たす行為らしい。すごく頭をかいてる人とかヒゲをぬいてる人とかも

 

 

以上。